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ゼロからはじめる資産形成⑮ 結局のところ老後資金って、いくらあれば足りるの?

老後の資金はいくら必要なのか…
老後の資金はいくら必要なのか…

 老後に不安を感じている人は「8割超」――。全国の18歳~69歳の約4000人を対象にした生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(令和元年度)」で、明らかになった数字です 。

 人は誰しも、「よくわからないこと」に対しては不安になるもの。老後になる前に、老後を経験した人なんていませんから、不安で当たり前です。その不安を少しでも軽減するためには、老後を安心して過ごせる資金の準備が大切です。では、一体いくらあれば良いのでしょうか。今回は、できるだけ早いうちに知っておきたい「老後の必要準備額」の計算方法をお伝えします。

老後の必要準備額は3つの項目で計算する

 老後の必要準備額は、次の計算式で算出できます。

 老後の必要準備額=老後にかかる支出-老後に入る収入

 そんなの当たり前じゃないか、と思われる読者もいるでしょう。確かに、とてもシンプルな計算式ですが、この計算をするための3つの項目について、いくらになるか金額を割り出すことが必要なのです。

 その3つとは、

①毎月かかる生活費はいくらか(年間でかかるお金は12カ月で割る)

②生活費以外に備えておきたい医療費や介護費などはいくらか

③収入はいくらか

です。それでは一つずつ金額を割り出す考え方を見ていきましょう。

毎月かかる生活費をどう考える?

 老後の家計に最も大きな影響を与えるのは、毎月かかる生活費です。人生100年時代に、長く生きるほど膨らむ生活費をいかに抑えるかが、“長生きリスク”に備える鍵と言えるでしょう。

 老後の生活費は、今かかっている金額を参考にして考えます。たとえば、今かかっている生活費が月35万円、60歳までに完済できる住宅ローンの返済額が月10万円、子どもの教育費が月5万円、という人の場合。老後にかからなくなる費用である「ローン返済」と「教育費」分を引けば、月20万円などとイメージできます。

 つまり、老後の生活費を割り出すためには、今の時点での生活費を知る必要があるのです。わからない人は、まずは家計簿を1カ月つけて、何にどのくらい生活費がかかっているかを知ることから始めましょう。

生活費の他の支出はどんなもの?

 生活費以外にかかるお金は、医療費や介護費、戸建ての修繕費やマンションの修繕一時金、子どもへの資金援助、葬式代や墓代――などがあげられます。生活費のように、「月いくら」と計算することができませんので、老後期間全体でいくら準備したいかを考えます。ここでは主な費用である医療費と介護費の目安をお伝えします。

<医療費>

 厚生労働省「生涯医療費(平成30年度)」統計データによると、60歳以降の1人あたり医療費の総額は約1760万円。公的医療保険により自己負担は1~3割となるため、176~528万円といったところです。また、一定金額以上は医療費がかからない高額療養費制度もあることを踏まえると、老後にかかる医療費は、1人あたり300~400万円くらいが目安と考えられるでしょう。この金額を参考に、持病がある、身体が強くないなど、ご自身の身体状況を踏まえて、準備しておきたい金額を割り出しましょう。

<介護費>

 過去3年間に家族などの介護経験がある人への調査(「生命保険に関する全国実態調査(令和3年度版速報)」/生命保険文化センター)によると、介護にかかった費用(公的介護保険の自己負担分を含む)のうち、毎月かかる費用は平均で8.3万円、一時的にかかる自宅のリフォーム代や介護用ベッド代などの平均は74万円です。また、介護を始めてからの期間の平均は61.1カ月ですが、10年以上という人も17.6%います。まさに終わりが見えないのが介護と言えますね。これらを踏まえ、8.3万円×61.1カ月≒507万円と考えれば、約500万円を目安とできるかと思います。なお、高齢者施設の入居も視野に入れている方は、入居一時金もかかる場合があるため、相場などを調べておくと安心です。

年金見込み額を把握する方法

 老後の収入がいくらになるか考えるポイントは、「どのように働きたいか。そしていくらくらいの就労収入をいつまで得たいか」と、「もらえる年金額はいくらか」の2つです。前者は人によって異なりますので平均値などはお伝えしませんが、遅くても50代に入ったら、老後のキャリアプランを真剣に考え始めると良いでしょう。月数万円でも、収入があるとないとでは、老後の家計に大きな差が生まれます。

 そして後者の年金については、年金見込み額を早いうちに調べることが大切です。50歳以上の場合は、誕生月に届く「ねんきん定期便」で調べられますが、50歳未満の場合、「ねんきん定期便」には加入期間に応じた年金額しか載っていないため、見込み額はわかりません。また、50歳以上の場合でも、ねんきん定期便の見込み額は、今の加入内容が60歳まで続いた場合を前提としているため、独立など働き方を変える予定があったり、大きく給与水準が下がる可能性があったりする場合は、見込み額と実際の金額に大きな差が生まれるかも知れません。

 50歳未満の人や、今後の働き方を変える予定の50歳以上の方などは、WEBサイト「ねんきんネット」の活用をおすすめします。見込み額を簡単に試算できるねんきんネットでは、今後の就労予定など細かい設定もできます。一度アカウントを取得しておけば、いつでも見込み額を知ることができるため、老後資産のプランニングに役立ちますよ。

必要準備額を下げる方法

 これら3つの項目について、金額の目安がわかったら、60歳時点でどのくらい準備しておけばよいか、以下のように算出します。ここでは65歳からの収入は公的年金のみ、90歳まで生きると仮定した例としています。

 試算例では、60歳時点の必要準備額が2200万円となり、退職金があればこの金額から引くことができます。しかし、あくまですべて仮説における算出です。少しでも必要準備額を下げられるよう、計画を立てて意識して行動するのが良いでしょう。

 必要準備額を下げられるアイデアをいくつかお伝えします。

◎60歳以降もずっと長く働く

 長く働き続けるために、健康に気を付ける。夫婦で協力できるよう双方が家事をできるようにしておく。また、人脈を拡げたり、情報収集を心掛けたりするのも良いですね。

◎公的年金の受取を遅らせて年金額を増やす

 公的年金の受取を遅らせる(繰り下げ)と1年で8.4%、5年で42%も増やすことができるので、年金がなくてもしばらく生活できるように、準備しておくのも一案です。2022年4月からは、遅らせられる期間が5年間から10年間と増え、最遅で75歳まで遅らせることができるようになります。ただし、繰り下げをすると一部もらえなくなる年金があるなどデメリットがある人もいるので、時期が来たら年金事務所に出向き、自分の場合はどうか、事前に確認をするようにしましょう。

◎生活費を見直す

 老後の生活費をできるだけ抑えるようにするのも必要準備額を下げるための大きな対策です。住宅費や、生命保険や医療保険などの保険料、通信費などの固定費について、見直しの余地がないか検討しましょう。

 いかがでしたか?まだ一度も老後の必要準備額を計算したことがない方は、ぜひご自身で計算してみてください。準備をするためには、まずはゴールの設定が必要です。どんな老後を過ごしたいか考えて必要準備額を知り、準備を始めることが、大きく不安を減らせることにつながるのです。

(ライフヴェーラ代表/みらい女性倶楽部 鈴木さや子)

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