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⑰いざというときに慌てないための「介護に必要なお金」の話

「その時」が来る前に心の準備をしておこう
「その時」が来る前に心の準備をしておこう

 親が高齢になると、子世代は「いつか担うことになるであろう介護」を意識するようになります。経験したことがない介護に、漠然とした不安を感じる人も少なくありません。

 生命保険文化センターの調査(令和元年度)によると、親などを介護する場合の不安の有無について、約9割が不安であると答えています。一番の不安は「自分の肉体的・精神的負担」、次いで「自分の時間が拘束される」、そして「自分の経済的負担」と続きます。

 しかしこれらの不安は、介護にかかる費用の目安を知り、介護を担うことになったらどうすればよいか、どんな支援制度があるかなど、心の準備があればかなりの部分は解消されるのではないでしょうか。そこで今回は、介護サービスの概要と介護にかかる費用、利用できる公的支援制度についてお伝えします。

公的介護保険で受けられる介護サービスの概要

 まずは公的な介護保険について確認しておきましょう。介護保険とは、高齢者の介護を社会全体で支えあう仕組みで、平成12年から始まった国の制度です。市町村が保険者として運営しています。

 介護や支援が必要となったら、市町村に申請します。要介護または要支援と認定されると、65歳以上の人はいつでも原則1割負担で介護サービスが受けられます。一方、40歳以上64歳までの人には条件があり、対象となる特定疾病(脳血管疾患、末期がん、初老期における認知症など老化に伴う病気)に起因して介護や支援が必要と認定された場合に、サービスを受けることができます。

 なお、自己負担割合が1割となる条件は、「本人の合計所得金額が160万円未満」または「年金収入+その他の合計所得金額が280万円未満」で、一定以上の所得がある人は2割、現役世代並みに所得がある人は3割となります。

<居宅サービス・施設サービス>

 介護サービスには「居宅サービス」と「施設サービス」があります。居宅サービスとは、自宅に住みながら受けられるサービスのことで、訪問による買い物や掃除、入浴のサポート、施設に通うデイサービス、短期間施設に入所するショートステイなどのサービスがあります。一方、施設サービスとは、特別養護老人ホームなどの施設に入所するサービスのことです。

要介護度によって利用限度額は異なる

 要介護・要支援に認定されたからといって、自己負担割合の中でいくらでもサービスを受けられる、というわけではありません。居宅サービスには、要介護度に応じて利用できる限度額(月額)が決められています。

 たとえば、掃除や身の回りの世話、入浴時のサポートを必要とする「要支援2」は月額10万5310円、寝たきりの「要介護5」は月額36万2170円が限度額です。なお、施設利用時の食事や日用品の購入代金はサービスの対象外で、全額自己負担になります。

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自己負担額が高くなったら使える「高額介護サービス費」制度

 月々の介護サービスの自己負担額が高くなってしまった場合には、上限額を超えた分を払い戻してもらえる「高額介護サービス費」制度が利用できます。制度の利用には、市町村への申請が必要です。

 たとえば課税所得380万円未満の人の場合、ひと月の負担上限額は44,400円です。ただし、この制度に適用されるのは介護保険の対象となるサービスによるものなので、施設に入所した際の部屋代や食事代は含めることができません。

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介護することになったらかかる費用の目安

 では介護サービスを利用した際の自己負担額も含め、介護を想定した費用はトータルでいくらぐらいと考えればよいのでしょうか。

 生命保険文化センターの調査(「生命保険に関する全国実態調査」令和3年度)によると、過去3年間に家族などの介護経験がある人の、介護にかかった費用の総額は約500万円です。内訳は、介護にかかる毎月の費用が平均で約8.3万円、介護を始めるのにかかる一時的な費用(リフォームや介護ベッド代など)の平均が約74万円、介護を始めてからの期間の平均が61.1カ月で、これらをかけあわせたのが約500万円という数字です。あくまでも平均値ではありますが、介護費用のトータルの目安になるかと思います。

 さまざまな支援制度があるとはいえ、介護にかかる費用は決して小さくありません。できれば親の介護は、親の年金や資産の範囲内でできるのが望ましいです。とはいえ、親が元気な時に、介護になったときの話や、ましてやお金の話はしづらいもの。ストレートに聞き出しにくい情報は、日頃のコミュニケーションの中で少しずつ把握するよう、早いうちから意識しておくと有効です。

介護する側が利用できる公的支援制度

 介護に対する不安としては、経済的な負担以外に、介護する人の時間や体力の心配もあります。親の介護をする子世代は現役であることも多く、介護する側が疲弊したり、離職したりすることがないよう、仕事と介護の両立をサポートしてくれるさまざまな制度について知っておきましょう。

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仕事を辞めずに介護を続けるには、介護休業や介護休業給付など公的支援を利用することが重要です。早めに勤務先や同僚などに相談し、円滑に介護と仕事を両立できる体制を整えられるようにしましょう。

早めにしておきたい介護予防

 親の介護が気になりだしたら、親の住んでいる地域にある「地域包括支援センター」に相談に行っておくのも一手です。地域包括支援センターは、高齢者が住み慣れた地域で生活できるよう、介護サービスや介護予防サービス、日常生活支援の相談に応じてくれる窓口で、介護保険の申請も受け付けています。早めの対策により、介護予防につながるかもしれません。

 いざ介護となった時に慌てずに対応するためには、介護になった時の対処法や支援制度を知っておくことが大切です。公的サポートをうまく活用して、介護する側もされる側も、無理なく望む生活が送れるとよいですね。

(みらい女性倶楽部 冨田仁美)

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