俊英ピアニストを育てたのは自分の耳を持ち始めた日本の聴衆である=梅津時比古
有料記事
クラシック 谷昂登ピアノ・リサイタル
フレッシュ・アーティスツ from ヨコスカ シリーズ61
今や逸材続出の日本人ピアニスト
注目の18歳、谷昂登を堪能する
外国のコンクールの審査員としても常連の日本のあるピアノ指導者が「世界中の若いピアニストの中で、今、日本人が最高」と語っていた。
ショパン国際ピアノコンクールで2位に入賞した反田(そりた)恭平が大注目を浴びているが、それだけではない。かつてクラシック音楽で日本人が世界で活躍している分野は弦楽器に限られていたが、今やピアノの世界で、日本人の国際ピアノコンクール入賞のニュースを聞くことは珍しくなくなっている。
その一番の理由は、ピアノに限らず音楽全体に、独自の世界観、自分だけの耳を持つ聴衆が日本において育ったことにあるだろう。音楽家を育てるのは、まさに聴衆である。聴衆との交流、聴衆からの支持などにより、演奏家は自らを成長させる。これまで日本人は、クラシック音楽の場合、価値基準を欧米に求めてきた。海外の大きなコンクールに入賞すれば、その演奏家は日本でも評価され、欧米に住んで欧米で評価されれば、彼らの日本…
残り869文字(全文1351文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める