31年前にあった内戦下のソマリア脱出「南北」ドラマ=寺脇研
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映画 モガディシュ 脱出までの14日間
韓国大使館の内戦下の逃避行
北とも協力した「外交」の重み
モガディシュ(またはモガディシオ)は、東アフリカのソマリア連邦共和国の首都。副題にあるように、1991年1月に起きた内戦で無政府状態になったこの国を脱出しようとする韓国人たちの物語だ。
ウクライナ一色の報道ですっかり忘れ去られてしまっているけれど、昨年夏、タリバンに制圧されたアフガニスタンで起きた大混乱を思い出してほしい。その中で、自分たちだけでなく現地人職員、家族の希望者全員に至るまで救った韓国大使館の振る舞いは「カブールの奇跡」とも呼ばれた。これもいつの日か映画化されそうな快挙だが、背景には30年前のソマリアの脱出劇があったのではないか。
現在と比べ経済力も外交力も弱い中、開設されたばかりの韓国大使館の使命は、韓国の国連加盟へ向け、国連総会で多数の票を持つアフリカ諸国からの支持獲得だった。ライバルは、20年以上前にソマリアと外交関係を樹立している北朝鮮だ。どちらが先に加盟を認められるかは東西冷戦下の枢要であり、水面下の外交戦が展開されていく。
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週刊エコノミスト
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