緑が多く人が少ないオスロで、生きる実感を追い求める主人公=芝山幹郎
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映画 わたしは最悪。
失敗と迷走を恐れぬ主人公
戯画化を避けて丁寧に描く=芝山幹郎
顔がいくつもある映画だ。邦題も巧い。原題を訳すと〈世界で最悪の人〉となるが、「わたしは最悪。」という日本語に移し替えたことで観客との距離が縮まった。人はだれしも、「自分は最悪」と考える一瞬がある。若いときはとくにそうだ。思わないほうがおかしい。
主人公のユリヤ(レナーテ・レインスヴェ)は20代後半の女だ。学生時代から成績は優秀なのだが、興味の対象がすぐに変わる。医学専攻から心理学専攻へ移行し、それにも飽き足らずに写真家をめざし、さらに迷走していたころ、コミック作家のアクセル(アンデルシュ・ダニエルセン・リー)に出会う。
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週刊エコノミスト
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