ワーグナーのオペラで最も「読み直し」にくい名作に宮本亞門が挑戦=梅津時比古
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クラシック 《二期会創立70周年記念公演》パルジファル〈新制作〉
「読み直し」で楽しむオペラ
宮本亞門がワーグナーを演出
現代のオペラ公演は「読み直し」の演出が根本になっている。「読み直し」とは、語弊を恐れずに言えば、当時のオペラを現代に合わせることである。音楽はもちろん変えない。せりふも変えない。しかし舞台設計は一から十まで原典に詳しく設定されているわけではないので、そこを現代に合わせるのである。
例えば17、18世紀の事件を扱ったオペラは、やはりその背景を現代では理解しにくいので、21世紀の物語に置き換える。歴史物に限らず、ロマンチックな王子様と市井の娘さんのお話は、スキャンダラスな不倫の話にとらえ直される。そのほうが現代人には理解しやすいし、ロマンチックな装いに隠されていた物語の本質はそこにあると見るわけである。
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週刊エコノミスト
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