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インフレ高進で高まる金の存在感=市岡繁男

 ウクライナ中銀は先日、123億ドル(約1.6兆円)の金準備を売却し、ロシアとの戦費に充当したと発表した。1トロイオンス=1750ドルとして約220トンの金を売却した計算だ。もっともIMF(国際通貨基金)のデータでは、同国が保有する金準備は約27トンなので、いわゆる「大本営発表」だったように思う。それはともかく、同中銀の売却も今春以降の金下落の一因だったのだろう。

 金は金利がつかないので、通常は実質金利(名目金利-予想インフレ率)と連動する(図1)。物価連動債の利回りで表される実質金利の直近ピークは0.71%で、2019年3月以来の水準だ。当時の金価格は約1300ドルだったのに対し、現在は1700ドル台と3割も上だ。

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