聖なる自然を宿した全13曲150分を聴く 梅津時比古
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クラシック ピエール=ロラン・エマール ピアノリサイタル メシアン《鳥のカタログ》
宗教的な敬虔(けいけん)を感じさせることは、音楽にとって重要な要素である。バッハやそれ以前のグレゴリオの時代では、それは音楽の必須であった。
では、現代の音楽には、聴いていて宗教的敬虔を引き起こすものがないのだろうかと考えた時、フランスでカトリックの生涯を全うしたメシアン(1908〜92年)が挙げられる。
作曲家には、誰にも指導者、あるいは流派の影響がある。ハイドン、モーツァルトがあってベートーベンがある。ところがメシアンにはそれがなかなか見られない。あたかも突然変異で生まれた音楽のようにすら聴こえる。メシアンには鳥の鳴き声を精密に音楽にした大曲があるが、まるで、メシアンは本当に鳥や自然から、音楽を教わったように聴こえるのである。その独特の和音は、悲しいとかうれしいという感情のレベルを超えている。…
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週刊エコノミスト
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