教養・歴史アートな時間

聖なる自然を宿した全13曲150分を聴く 梅津時比古

ピエール=ロラン・エマール©Julia Wesely
ピエール=ロラン・エマール©Julia Wesely

クラシック ピエール=ロラン・エマール ピアノリサイタル メシアン《鳥のカタログ》

 宗教的な敬虔(けいけん)を感じさせることは、音楽にとって重要な要素である。バッハやそれ以前のグレゴリオの時代では、それは音楽の必須であった。

 では、現代の音楽には、聴いていて宗教的敬虔を引き起こすものがないのだろうかと考えた時、フランスでカトリックの生涯を全うしたメシアン(1908〜92年)が挙げられる。

 作曲家には、誰にも指導者、あるいは流派の影響がある。ハイドン、モーツァルトがあってベートーベンがある。ところがメシアンにはそれがなかなか見られない。あたかも突然変異で生まれた音楽のようにすら聴こえる。メシアンには鳥の鳴き声を精密に音楽にした大曲があるが、まるで、メシアンは本当に鳥や自然から、音楽を教わったように聴こえるのである。その独特の和音は、悲しいとかうれしいという感情のレベルを超えている。…

残り908文字(全文1303文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

6月13日号

電力が無料になる日 NTT、東電、トヨタが拓く未来14 NTT、東電、トヨタの共闘 捨てる再エネは「宝の山」 ■金山 隆一18 インタビュー 森島龍太・電池サプライチェーン協議会業務執行理事 「電池は国家のエネルギー戦略そのもの」19 電池のリユースは自動車業界の命綱 ■藤後 精一20 EV電池の送 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事