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テクノロジー メタバース&Web3.0のすごい世界

「仏教の教えとAIを融合させよう」熊谷誠慈・京都大学 人と社会の未来研究院・准教授

 現実世界を拡張するメタバースを信仰に応用しようと、大学発スタートアップが登場した。発案者の研究者に話を聞いた。

(聞き手=浜田健太郎・編集部)>>特集「メタバース&ウェブ3のすごい世界」はこちら

── 仏教とメタバース技術を融合した仮想世界「テラバース」の開発を始めたと9月に発表した。伝統宗教と最新技術を組み合わせる狙いは何か。

■仏教徒の夢であるブッダに直接話を聞いてみたいという動機だ。約2500年前の北インドにゴータマ・シッダールタ(ブッダ)がいて、じかに対話していた人たちがいた。ブッダから聞いた話を弟子たちがまとめ経典が編纂(へんさん)された。ただ、「ブッダに直接話を聞きたい」と願っても、ブッダが次に地上に現れるのは、弥勒菩薩(みろくぼさつ)の修行が完成する56億年後。それなら、現世でも仮想的に体験できないかと考え、プログラマーの古屋俊和氏と青蓮院門跡・執事長の東伏見光晋氏の協力を得て、ブッダのチャットボット(自動会話プログラム)を1年半前に制作した。

── 第1弾として、現実の映像にコンピューターで作った映像などを重ねて表示するAR(拡張現実)の技術や、AI(人工知能)などを用いて、ブッダと対話できるプラットフォームを開発した。現在の取り組みと今後の展望は。

■一般的にはメタバース空間は専用ゴーグルを付けてVR(仮想現実)を体験するものと考えられている。ただ、疲れやすいVRは1〜2時間が限界だろう。VRの利点は没入感だが、現実空間で周囲との関係性を取り除かないといけない。周囲との関係性を保ちながら、AR技術を用いてスマホなどで見られる現実空間にブッダのアバターを招いて対話しようと考え、先にARのプラットフォームを制作した。

 私は仏教学者として古文書を読み、遺跡を調査している。古い仏教経典を読んで昔の知恵を解明することができたら、現代社会に役立てられるようにしたいと考えていた。そのころ、古屋氏と知り合い、仏教の教えとAIの融合について応用を進めようとなった。

── テラバースには仏教活性化の狙いもあるのか。

■それはある。京都には「総本山」と呼ばれる大寺院があって、地方にも中…

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