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マーケット・金融 インフレ時代の投資術

《国債》いま注目は個人向け国債「変動10年」 大山弘子

 個人向け国債「変動10年」に適用される金利が今年に入ってじわじわ上がっている。

半年ごとに金利が変わる

 物価上昇に対応して資産を運用したいが、株式や投資信託など投資元本を下回る恐れがある金融商品を買うのは心配という人もいるだろう。そんな場合は、インフレ率に連動して金利が変わる個人向け国債の「変動10年」(表)という選択肢もある。(インフレ時代の投資術 ≪特集はこちら)

 国債は国が発行し、満期になったら利子と元本の払い戻しを約束する債券だ。個人向け国債には三つのタイプがある。市場で売買される国債(10年新発債)の利回り(基準金利)に応じて半年ごとに適用利率が見直される「変動10年」、購入時の適用金利が満期まで続く「固定3年」「固定5年」だ。

直近は0.17%に

「変動10年」に適用される利率は基準金利に0.66を掛けたもので、国が保証する最低金利は年率0.05%だ。日銀が16年にマイナス金利政策を始めた後、国債の適用金利はほぼ一貫して年率0.05%だったが、今年3月発行分から0.1%を超えている。11月発行の第151回債の初回適用利率は0.17%(図)となった。

 ちなみにメガバンクの1年物定期預金の金利は0.002%にすぎない。

 つまり、実勢金利に従って利率が変動する「変動10年」は元本割れのリスクがなく、インフレに比較的強い金融商品といえる。国は毎月発行し、郵便局(ゆうちょ銀行)、銀行、信用金庫、証券会社、農協など身近な金融機関で1万円から購入できる。

 デメリットもある。他の金融商品に比べると金利が低く、利子は現金で払い出されるため複利運用ができない。また、発行から1年経過すると中途解約できるが、その場合、直前2回分の利子相当額(税引き前)に約0.79%を掛けた金額が差し引かれるペナルティーがある。

(大山弘子・マネーライター)

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