独ショルツ首相の対中姿勢に異論や避難 熊谷徹
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ドイツのショルツ首相は11月4日、中国を訪問し習近平国家主席と会談した。わずか11時間の滞在とはいえ、2年前のコロナ・パンデミック勃発後、G7加盟国の首脳が訪中したのは初めてだ。ドイツ企業の社長ら約10人も同行した。
ドイツの保守系日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』の11月5日付紙面によると、ショルツ首相と習近平国家主席は、「ロシアは欧州で核兵器を使ってはならない」という点で合意。中国政府はロシアのウクライナ侵攻をまだ非難していないが、ロシアの核兵器使用に反対すると発言したのは、今回が初めて。
もう一つの成果は、中国政府がドイツのビオンテックと米国のファイザーが開発したコロナワクチンを中国在住の外国人に接種することを初めて許可したことだ。中国では外国製のコロナワクチンの接種は、中国に住む外交官以外禁止されていた。
ショルツ首相は両国の経済関係の重要性を強調するだけではなく、中国に対して耳の痛い指摘も行った。ドイツの日刊紙『南ドイツ新聞(SZ)』は11月4日付電子版で、ショルツ首相の「新疆ウイグル自治区などの人権問題について話すことは、内政干渉ではない。全国連加盟国は、人権擁護と少数民族の保護を義務付けられており、中国にもあてはまる。人権問題については、ドイツと中国の間に著しい見解の相違がある。新疆ウイグル自治区の問題については、引き続き協議していく」という言葉を引用した。さらに首相は、ドイツは「一つの中国」の原則を尊重するが、台湾問題を武力によって解決することには反対するという姿勢を打ち出した。中国側は「両国は見解が一致している点についてのみ話し合うべきだ」と…
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週刊エコノミスト
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