FTX破綻で生かせない教訓 暗号資産投資は「もはや論外」 岩田太郎
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暗号資産の大手交換業者である米FTXトレーディングが11月10日、米連邦破産法11条に基づく会社更生手続きを申請した。顧客の資金を流用して投資する不正があったとされ、米論壇ではその経営破綻の教訓が議論されている。
ブルームバーグのエミリー・ニコール記者らは11月13日付の解説記事で、「全容の解明には時間がかかる。だが、確かなのは、低利でいくらでも借りられるマネー、願望的思考、そして過剰宣伝された金融イノベーションの組み合わせが人々を酔わせ、破滅に至ったことだ」と指摘した。
同記事はさらに、通信事業の失敗や簿外債務の膨張で2001年に破綻したエンロンや、粉飾会計で02年に破綻した大手通信業者のワールドコム、08年の破綻で世界的な金融危機を引き起こした大手投資銀行のリーマン・ブラザーズを引き合いに出し、「こうした破綻劇は新しいものではない。細部は違うが、弱い規制や景気循環による破綻のタイミングなど、基本的な共通点がある」と論じた。
FTXの顧客資産回収は望み薄とされるが、米金融大手シティグループのアナリストのジョセフ・アユーブ氏は11月13日に出演した米経済専門局CNBCの番組で、「我々が、FTXの最高経営責任者(CEO)職を辞任したサム・バンクマンフリード氏と彼の会社を、暗号資産市場において流動性が供給できる『最後の貸手』と考えていたことは皮肉でしかない」と回顧した。
また、米投資企業パインブリッジ・インベストメンツのポートフォリオマネジャーであるハニ・レダ氏は11月13日付の別のブルームバーグの記事で、「暗号資産は一時、すべての投資家が戦略的な資産配分に組み入れるべき資産クラ…
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週刊エコノミスト
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