国際・政治ワシントンDC

2週間で確定しない米中間選挙 当局の慎重姿勢で遅れに拍車 吉村亮太

米中間選挙の開票作業は2週間以上に及んだ Bloomberg
米中間選挙の開票作業は2週間以上に及んだ Bloomberg

 国政選挙の投票日は「偶数年の11月の第1月曜日の翌日の火曜日」と連邦法で規定されている。つまり、11月2〜8日の火曜日となる。どうして11月かといえば、多くの国民が農業に従事していた時代に、春から初秋までの農繁期は避け、かつ真冬の厳しい時期も避けたためとされる。

「日曜」「1日」を避け

 日本をはじめ、多くの国が日曜日を投票日に設定している。では、米国の場合、なぜ火曜日なのかといえば、投票所までの往復に丸1日かかったとしても日曜日の礼拝に支障を来さない曜日にしたとか。また、なぜ1日になるのを避けたのかといえば、商人が前月分の経理の締めをする日だったからだとか。投票日の決め方に妙に生活感がにじみ出ていて興味深い。

 政権が発足して初めて迎える中間選挙では、下院で議席数を多く失うのが歴史の常識だが、大方の予想に反して民主党候補が善戦した。ただ、投票日から2週間以上が経過しても結果が確定していない選挙区が存在している。

 広い国土とはいえ、どうしてここまで差がつくのか。選挙報道を見ていると、州によって方法や制度がまちまちであることがわかる。全国で統一されていて、スピード重視の日本とはだいぶ様子が異なる。地域差に加えて、2020年の大統領選挙の際、トランプ陣営によって選挙制度そのものに対する信頼が著しく損なわれたため、選挙を管理する当局がいつにもまして慎重になっているのもわからないではない。民主主義を維持するためには選挙結果に一点の曇りもあってはならないからだ。

 革新系の旗手として知られるカリフォルニア州の場合、投票方法の選択肢を広げるべく、すべての有権者に投票用紙が事前配布されるが、郵便投票方式を選んだ場合、署名の照合など本人確認にどうしても手間がかかる。また、投票日の消印さえあれば有効…

残り639文字(全文1389文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月9日号

EV失速の真相16 EV販売は企業ごとに明暗 利益を出せるのは3社程度■野辺継男20 高成長テスラに変調 HV好調のトヨタ株 5年ぶり時価総額逆転が視野に■遠藤功治22 最高益の真実 トヨタ、長期的に避けられない構造転換■中西孝樹25 中国市場 航続距離、コスト、充電性能 止まらない中国車の進化■湯 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事