独メディアで目立つCOP27批判 矛先は中国や中東 熊谷徹
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エジプトのシャルムエルシェイクで11月6日から約2週間にわたり、国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)が開かれた。ドイツ論壇では、合意内容について「不十分」という批判の声が強い。
ドイツの日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』は11月21日付紙面で、「COP27参加国は初めて、気候変動による被害を受けている国のための援助基金を設置することで合意したが、基金の規模や出資国などについては、来年ドバイで開かれるCOP28に持ち越された。EU(欧州連合)は中国や中東の産油国も資金を拠出するべきだと主張しているが、これらの国々は拒否している」と報じた。
FAZは、「COP27の参加国は、産業革命前に比べて、地球の平均気温の上昇幅を1.5度以下に抑えるために、2030年までに温室効果ガス(GHG)排出量を19年比で43%減らす必要があるという点では合意した。しかし英グラスゴーでのCOP26で合意された石炭火力発電の削減を繰り返すにとどまり、EUや環境団体が要求していた『あらゆる化石燃料からの脱却』については言及しなかった」と指摘。
同紙によると、ドイツのハーベック経済・気候保護相は、「今回の会議の結果に、満足することはできない」と批判した。同相は、「各国は約束した具体策を地道に実行するしかない。世界全体が、エネルギー転換と産業界の非炭素化によって、石炭、石油、天然ガスから脱却しなければ、1.5度目標を達成できない」と指摘した。
ドイツ公共放送連盟(ARD)ニュース番組「ターゲスシャウ」は11月20日、アルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所(ブレーメン州)で、気…
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週刊エコノミスト
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