「まるで三つの異なる経済」 米エコノミストが指標の不整合に困惑 岩田太郎
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米国の各種経済指標が好調や不調をバラバラに指し示し、エコノミストたちを悩ませている。多数の米国人が「経済状況は悪い」と感じる中、米国は不況に向かうのか、それを回避するのか。方向性が定まらない理由について議論が始まった。
米ニュースサイト「Vox」は12月2日付の解説記事で、「一般的に、国内総生産(GDP)や労働者の所得、雇用、工業生産は不況の前には連動して弱くなるし、回復期には同時に上昇するものだ。ところが現在の米経済では、そうなっていない」と指摘した。
米金融大手バンク・オブ・アメリカのグローバルエコノミストであるイーサン・ハリス氏は同記事で、「住宅市場が景気後退に突入する一方、消費者は持ちこたえており、労働市場は過熱している。まるで三つの異なる経済が存在するかのようだ」と語った。
また、米ニュースサイト「アクシオス」は11月21日付の記事で、「企業経営者は投資家に対して景気後退のリスクを警告しているが、実際の行動は違っている。米国の上位優良企業グループであるS&P500株価指数に含まれる会社が、建物・設備・技術に対して行った資本支出は7~9月期に2220億ドル(約30兆円)と、前年同期の1760億ドル(約24兆円)を上回り、歴史的なレベルであった。これは、企業経営者の米経済に対する信任を表すものだ」との見解を示した。
一方、オバマ政権で大統領経済諮問委員会委員長を務めたジェイソン・ファーマン氏も「Vox」の記事で、「消費者信頼感指数が驚くほど低下しているにもかかわらず、消費は非常に堅調だ。人々は口では否定的なことを言うが、実際の行動はネガティブではない」と言明した。
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週刊エコノミスト
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