GX原資150兆円の目玉「直流高圧送電線」で注目の2社 土守豪
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太陽光パネルや風力発電機器で弱い日本だが、脱炭素に向かう岸田政権のGX150兆円はチャンスだ。
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岸田文雄首相の下、脱炭素による経済成長を目指す原資として官民で150兆円をGX(グリーントランスフォーメーション)に投資する方針を決めた。日本でも中長期の再生可能エネルギーの導入拡大は確実に進む。
国際エネルギー機関(IEA)が2025年には石炭を抜いて再エネが主電源になる、との予想も追い風になる。日本で期待されるのは再エネの大量導入に不可欠な直流高圧送電線。デマンドレスポンス(需要調整、DR)などの節電ビジネスと、洋上風力だ。
海底直流送電に3兆円
長距離の大量送電では交流より送電ロスが少ない直流の方が優れていることから、欧州や中国など再エネ発電を積極的に展開する地域では、直流高圧送電線の整備が盛んだ。特に、洋上風力の電力を大消費地へ一気に送電するのに直流高圧送電が適している。
日本でも経済産業省が中心となり太陽光や風力などの再エネ導入に適した地域から大消費地に直流でつなげる計画を検討している。経産省の試算では北海道、東北、東京を結ぶ海底直流高圧送電線などを建設すれば送電能力を最大800万キロワット強化できるという。投資額は東日本で最大3.4兆円。なかでも秋田県や北海道などの日本海側で計画が多数あるため、北海道、東北と新潟県を海底送電線でつないで東京に送電する計画が有力視されている(図)。
3.4兆円を誰がどう負担するか、については二酸化炭素多排出企業への負荷金、財政、利用者負担など議論が沸騰中だが、政府は資源価格の高騰を受け、22年度の2次補正予算で電気・ガス料金、ガソリンの急激な値上がり分の補助に6兆円を計上。こうした目先の人気取りのバラマキではなく、再エネを普及させる送電線のような取り組みこそ、国を強くする政府予算の振り分けではないか。
直流高圧送電線の関連企業として、注目されるのが日立製作所の送配電事業子会社である日立エナジーだ。日立はスイスの重電大手ABBの送配電事業を20年7月に7500億円で買収し、直流高圧送電システムの世界シェアでトップに立った。欧米を中心に世界の直流送電線の半数以上、総計1.3億キロワット相当を展開。主要機器の大半を自前で開発、製造し、最先端技術を持つ。
電線メーカーにも注目だ。長距離の直流送電線には海底ケーブルが欠かせないからだ。国内シェア首位の住友電気工業は直流送電海底ケーブルに大きな強みを持つ。同社は19年5月に英国とベルギー間を海底ケーブルで130キロメートルの直流送電海底ケーブル敷設…
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週刊エコノミスト
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