独極右のクーデター計画に「一笑に付すことはできない」具体性 熊谷徹
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ドイツの捜査当局は、極右組織「ライヒスビュルガー」がクーデターを計画していたとして、2022年12月7日に首謀者の不動産業者のハインリヒ13世ロイス皇太子(本名)ら25人を逮捕した。ドイツ、オーストリア、イタリアで行われた強制捜査には警察官約3000人が動員された。極右に対する捜査態勢としては、第二次世界大戦後最大の規模だ。
逮捕者には、極右政党・ドイツのための選択肢(AfD)に属する現役判事や、連邦軍特殊部隊の兵士、退役軍人、元警察官も含まれている。メンバーの自宅からは武器が約90丁、約600万ユーロ(8億4000万円)相当の黄金や約40万ユーロの現金が見つかった。
ドイツ公共放送連盟(ARD)は12月7日付ウェブサイトで「ハインリヒ13世らは、『評議会』と呼ばれるテロ組織を結成し、武装勢力をベルリンの連邦議会議事堂に突入させて閣僚や議員を逮捕する計画を持っていた。暫定政権を樹立して、自分が元首になり、ロシアなど旧連合国と交渉して新たな平和条約を結ぶ構想を持っていた。ハインリヒ13世はドイツに駐在するロシアの外交官に接触し、クーデターの承認を求めていた」と報じている。
ライヒスビュルガーは、現政府の正統性を否定し、ドイツが今も旧連合国に管理されていると主張。1918年まで続いたドイツ帝国の復活を目指している。ドイツのパスポート携帯や税金支払いも拒否。「ディープステート(闇の政府)」の存在を信じる「Qアノン」や、コロナワクチン拒否者、反ユダヤ主義者たちと思想を共有する。
ドイツの週刊誌『シュピーゲル』の12月13日付電子版によると、捜査当局は、クーデター計画が絵空事ではなく、…
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週刊エコノミスト
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