ウクライナ在住作曲家中心に平和への祈り込めて開催 梅津時比古
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クラシック シルヴェストロフ 平和への道コンサート
──バッハからシルヴェストロフへ:平和を愛する全ての人へ
ロシアとウクライナの戦争に対して、音楽界はどのように対応しているか?
たとえば、プーチン支持で知られるロシアの指揮者、ゲルギエフの欧米からの追放、ロシアが国家的事業と位置づけるチャイコフスキー国際コンクールの「国際音楽コンクール世界連盟」からの除名など、対露経済制裁に負けじと、音楽面における制裁も行われている。
しかし、意外に、コンサートそのもので、憂慮を体現したものは少ない。
それだけに、現在行われている「シルヴェストロフ平和への道コンサート バッハからシルヴェストロフへ:平和を愛する全ての人へ」は大切にしたい。
ヴァレンティン・シルヴェストロフはウクライナ在住の85歳の作曲家。若いころはモダニズムな作風で、旧ソ連において当局から「反体制」のレッテルを貼られ、ソ連作曲家同盟からも除名された。1970年代後半からは調性音楽にも新しい世界を開き、人間の根源的な祈りを感じさせる深く美しい作品は、欧米で高く評価され、多くの支持を集めている。
2014年にキーウで起きた親ロシア派の政権に対する反政府デモは、当局の弾圧で流血の騒乱となり、多数の市民が亡くなった。その渦中にいたシルヴェストロフは、抵抗の意志と追悼を込めて多くの合唱曲を作曲、その中でも無伴奏混声合唱による短い《ウクライナへ…
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週刊エコノミスト
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