朝鮮vs.日本 16世紀末の海戦を豪華俳優陣とVFXで鮮烈に描く 野島孝一
有料記事
映画 ハンサン 龍の出現
韓国ばかりか日本でも知られる朝鮮の海将イ・スンシン(李舜臣)の率いる水軍が日本水軍を打ち破った文禄の役(1592年)の「閑山島海戦」を描いた海戦絵巻だ。映画タイトルの「ハンサン」は、「閑山」の韓国語読み。韓国では730万人を超える観客動員の大ヒットとなった。
キム・ハンミン監督は、すでに「バトル・オーシャン 海上決戦」(2014年)という作品で、朝鮮水軍と日本水軍の海戦を描いたが、それは閑山島海戦より後の慶長の役(1597年)の「鳴梁(めいりょう)海戦」の話。今回は時代をさかのぼってイ・スンシンと豊臣秀吉の賤ケ岳七本槍(しずやり)の一人とうたわれた猛将、脇坂安治との初海戦。互いの腹の読み合いや、激しい戦いを描いた。「鶴翼(かくよく)の陣」「魚鱗(ぎょりん)の陣」などが海上で展開されるスケールの大きな作品だ。
豊臣軍の朝鮮侵攻で絶体絶命になった朝鮮水軍が、どのようにして日本水軍を逆転したのかなどが明らかになる。
イ・スンシンを演じているのは、パク・ヘイル。最近ではパク・チャヌク監督の「別れる決心」で主演を務め、この作品は2022年のカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した。キム・ハンミン監督作品では「神弓 KAMIYUMI」(11年)に主演している。
脇坂安治は、日本より韓国で有名といわれている闘将だが、人気俳優のピョン・ヨハンが演じている。脇坂の闘志はすさまじく、朝鮮軍を圧倒していた。ピョン・ヨハンは強烈な個性を発揮し、この作品で、韓国青龍賞助演男優賞を受賞し…
残り629文字(全文1279文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める