欧州メディアは広島サミットで示せた対露結束を歓迎 対グローバルサウスでは懸念 熊谷徹
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広島での主要7カ国首脳会議(G7サミット)について、欧州論壇では「民主主義国の結束の固さを世界中に示した」という肯定的な見方と、「欧米諸国はグローバルサウス(新興・途上国)の取り込みに失敗した」という批判が出ている。
ドイツ日刊紙『南ドイツ新聞(SZ)』は、5月21日付電子版で岸田文雄首相による「ウクライナのゼレンスキー大統領の参加により、我々は、ウクライナを強力に支援し続けるという明確なメッセージを発信できた」という発言を引用した。
ドイツ日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』は5月22日付紙面で「広島サミットの後、米国政府は、同盟国がF16など同国製の戦闘機をウクライナに供与することに同意すると発表した。米国は、ウクライナのパイロットのためにF16などの操縦方法の訓練も行う。ゼレンスキー大統領は、この発表を『歴史的な決定だ』とたたえた」と報じた。FAZは、「米国は『ウクライナ支援を続ける』というシグナルをロシアに送った」と分析している。
フランス日刊紙『ルモンド』も5月22日付電子版で「ゼレンスキー大統領は、ウクライナ戦争を国際的な会議の中心に据えることに再び成功した。彼は今年初めに西側諸国から戦車の供与を受けることに成功したように、戦闘機供与の必要性についても、欧米諸国を説得できた」と指摘。その上で、「一部の欧州諸国はロシアから交戦国と見なされることを恐れて、当初武器供与に慎重だったが、ゼレンスキー大統領は、欧州諸国に対して、『我々は、侵略者を領土から追い出そうとしているだけ』と説明することで、供与される武器の量と種類を増やす目的を着々と達成した」と論評した。
広島サミットは、ウクライナをめぐる議論の中で、西側陣営がグローバルサウスを味方につけようとする試みでもあった。
SZは、マクロン仏大統領による、「我が国がゼレンスキー大統領を政府専用機に乗せてサミ…
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週刊エコノミスト
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