還暦、子育て、そして音楽――ダイアモンド✡ユカイさん
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ロックシンガー ダイアモンド✡ユカイ/82
ロックンロールを追求する音楽活動、バラエティー番組への出演、不妊治療の情報発信──。活動の幅を広げてきたダイアモンド✡ユカイさんが昨年、還暦を迎えた。新たな思いで創作活動に取り組む、その胸中に迫った。(聞き手=安藤大介・編集部)
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── 「ロックスター」も還暦になりました。最近の取り組みは?
ユカイ やっぱり、できることとできないことがあります。苦手なものを一生懸命やっていると、時間はあっという間に過ぎてしまう。60歳を過ぎ、本当に自分ができることを目いっぱいやりたいと思っていますね。
今、「自己啓発ロック」っていうのを作ろうとしています。自分はロックに出会ったことによって人生が変わった。不器用で、何をやってもできないし、自信もなかった。勉強も思うようにできないし、スポーツも中途半端で辞めてしまったり。何もかもが中途半端な中、ロックに出会い、自信が持てた。自分にとっての自己啓発はロックだったんだね。だから、そのロックを使って、みんなに元気になってもらえるような、夢を持ってもらえるような、そういった音楽を作ろうと一生懸命にやってます。もちろん今まで作った中でも、そういったものもあったと思うけど、今は特に意識して、そうした音楽を作っていこうと思ってますね。
人生変えたビートルズ
── そもそも音楽との出会いは?
ユカイ 中学2年生の時、野球部の練習試合で骨折したことがきっかけです。かかとにヒビが入り、医者には「1年くらいギプスを外せない」と言われ、スポーツができなくなった。そんな時に、おしゃれで不良っぽい友達がレコードをたくさん持ってきてくれて、「暇だったらこれ聴いてみろよ」って。その中にビートルズのレコードがあり、暇だから聴いてみたんです。
そうしたら、何か分かんないけど聴いてるうちに楽しくなってきちゃって。「楽しいな、これ何だ?」と。そのうち、こんなふうに歌ってみたいなって思うようになって。それがビートルズとの出会いでした。ビートルズの洗礼を受けて、そこからは、もう本当にまっしぐら。おふくろにギターを買ってもらい、のめりこむように弾きましたね。
── 両親は音楽の道に進むことに反対だったそうですね。
ユカイ うちの家系は、祖父が能の先生をやっていたんですよ。おやじも聞いた話ではバイオリンを習っていて、音楽は自分よりもたけていた。それでも、おやじは「音楽を趣味でやるのはいいけれど、それで飯を食うなんて」と大反対。両親とも公務員だったこともあり、自分と同じ公務員になってくれると思っていたんじゃないかな。
親を泣かせたくないから「分かった、分かった」と言っていたんだけど、やっぱり楽しくて。大学生になった時は、もうほとんど学校に行かないでロックバンドを組んでフラフラしていました。
── プロになろうと決めていたのですか。
ユカイ いえ、ずっと葛藤していて。ビートルズに出会い、その洗礼を受けてから、自分の中では(やりたいことは)決まっていました。だけど、両親は安定した生活をしてほしいと願っていたし、大学で一緒にバンドをやっていた仲間も、卒業が近づいてくるとバンドを辞めていきました。
大学を留年し、悩み続けていたんだけど、『信念の魔術』(C.M.ブリストル著)という本に出会ったことが転機になりました。自己啓発の本で、「自分の夢を諦めちゃいけない」というようなことが書いてあり、当時の自分にドンピシャリの内容だった。悩みを全部突き抜けた。やっぱり自分の好きなことをやろうって決めたんだよね。そこからは迷うことはなかったですね。
── 1986年にロックバンド「レッド・ウォーリアーズ」のボーカルとしてデビュー。間もなく武道館や西武球場で開くライブにファンが詰めかける人気になりましたが、3年で解散してソロになりました。
ユカイ 本当に本の通りになっていったというか。自分が本気で夢をかなえようと思って前に進んでいくと、必ずそれを味方してくれる仲間が現れた。アルバイトしながら、プロを目指しているような仲間がたくさんいて、バンドを組むようになり、誕生したのがレッド・ウォーリアーズ。急な階段を駆け上がるかのように、夢を駆け抜けていっちゃった。
ただ、夢をかなえた時のその後のことまで想定していませんでした。バンドも、いろんな思いを持つ人がいた。自分もバンドにとらわれず、好きなように作ってみたいという思いが強かったのかな。
「トイ・ストーリー」と出会い
ソロデビュー後、ファーストアルバムが好調なセールスを記録。ただ、2枚目は思うように売れなかった。所属事務所を移り、活動を続ける中で、行き詰まりやマンネリ感にも悩む日が続いた。そんな中、出会ったのがアニメ映画「トイ・ストーリー」の主題歌だった。
── 「…
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