FRBの“利上げ休止”でパウエル議長に「不正直」批判も 岩田太郎
有料記事
米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ退治のため利上げを実施する方向性に関して発するメッセージが、市場関係者やエコノミストを混乱させた。米論壇では、金融当局と市場の対話が機能しているか議論になっている。
金融政策手段のひとつである公開市場操作の方針を決定する米連邦公開市場委員会(FOMC)は6月14日、利上げを休止すると同時に、金利予想レンジを大きく上方に移動させ、この先2回の利上げを示唆するという珍しい行動に出た。
ローレンス・サマーズ元米財務長官は6月15日に出演したブルームバーグテレビの番組で、「FRBの行動はつじつまの合わない部分がある。今回利上げをしない論拠は理解するが、それは米経済の強い成長とインフレの高進により2回の利上げが必要だというシグナルを示すものではない」と述べた。
ドイツの金融サービス大手アリアンツの首席経済顧問を務めるモハメド・エラリアン氏は6月15日付のツイートで、「FRBの判断は支離滅裂なものと見られており、その市場対話は混乱を招いている」と指摘した。
ウォールストリートの著名エコノミストであるデイビッド・ローゼンバーグ氏も6月15日付のツイートで、「パウエルFRB議長の市場対話の成績は、不正直なところがあるためギリギリの及第点であるDだ。2022年の7月にパウエル氏は、(食品およびエネルギー価格を除いた)コアインフレ率よりも、(基調的な変化を示す)消費者物価指数が大切だと説いた。だが今回、パウエル議長は粘着性のあるコアインフレが一番重要だと述べた。どちらが正しいのか」と批判した。
柔軟性確保を評価の声も
米資産運用会社ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック最高経営責任者(CEO)は6月14日に出演した米経済専門局CNBCの番組で、「FRBはレトリックの上では非常にタカ派的であったが、行動面においては明らかにタカ派的ではなかった。…
残り562文字(全文1362文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める