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週刊エコノミスト Online 書評

『励起 仁科芳雄と日本の現代物理学(上・下)』 伊藤憲二著 みすず書房 (上)5940円・(下)6600円

『励起 仁科芳雄と日本の現代物理学(上・下)』 伊藤憲二著 みすず書房 (上)5940円・(下)6600円

 日本の現代物理学の発展をリードした物理学者・仁科芳雄の生涯を幼少期から子細に追った画期的な評伝だ。戦時中は軍の依頼で原爆研究を主導したとの「定説」に対し、膨大な記録から当初は核エネルギーを動力として使うことが前面に出ていたが戦局悪化で軍などが原爆への活用の期待を膨らませたと指摘。重圧の中で仁科が苦悩する姿を浮かび上がらせる。戦後は日本の科学が世界に再び受け入れられるよう尽力した。終始誠実な人柄が印象的だ。(W)


週刊エコノミスト2023年10月3日号掲載

『励起 仁科芳雄と日本の現代物理学(上・下)』 伊藤憲二著 みすず書房 (上)5940円・(下)6600v

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