週刊エコノミスト Online編集後記

平野純一/浜條元保

編集部から

 経済が経済の論理では動かなくなってきた。米中対立で半導体製造を囲い込み、ウクライナ戦争で穀物輸出が滞る。価格は上がり、真っ先に影響を受けるのは庶民だ。

 世界の動きには「経済の時代」と「政治の時代」があると思う。おそらく交互に訪れて、今は「政治」が強くなってきた。経済合理性だけで動く世界が良いとは思わないが、各国が「経済安全保障」を理由に我を通し始めれば、これはいつか来た道。戦争の足音が忍び寄る。

 だが、ふと思う。冷戦崩壊後の経済の時代に、勝ち組の国や人たちはやりたい放題が過ぎなかったか。自由な競争は一方では亀裂や格差も生んでしまう。それを調整するのが政治の役割だ。もし世界が良くない方に向かっているのだとすれば、それこそ政治の出番だ。自己主張ばかりではなく相手を尊重して話し合うのが、あるべき「政治の時代」ではないか。

(平野純一)

「元気な赤ちゃんだね」

 長女が産まれ、病院から嫁の実家に義母と一緒に戻り、ビールで乾杯した。酒屋を営む義父も得意先への配達を終えると、お店を若い社員とバイトに任せて、3人で初孫の誕生を祝うささやかな“宴会”に。まだ日は高かったが、近所の寿司屋から出前をとり、乾き物をあてに、ビール瓶が次々にカラになっていった様子は今でもよく覚えている。

 それから27年──。5年前に義父が亡くなり、そして、義母も8月末、帰らぬ人となった。長女に続き、2人の息子にも恵まれた。3人の子どもが無事に育ったのは、まさしくすぐ近くにいた義父母のお陰だった。

 義母の最後の髪を整えたのは、美容師の長女。その彼女が9月中旬に入籍した。昭和、平成、令和と時代の変遷を強く感じる「2023 猛暑」が終わろうとしている。

(浜條元保)

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週刊エコノミスト2023年10月3日号掲載

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