週刊エコノミスト Online編集後記

位川一郎/稲留正英

編集部から

 国税庁がマンションの相続税評価額の算定ルールを来年から見直し、「タワマン節税」がやりにくくなるという。上層階の高額の部屋ほど時価と評価額の差が大きく相続税の負担が小さいなど、富裕層に有利な現行ルールは不合理そのもので、見直しは当然だろう。

 現に住んでいる人には怒られるかもしれないが、個人的にはマンション上層階に住もうという気持ちが理解できない。地面から離れすぎ、自然と隔絶した生活になりそうだからだ。特に、子育て世代には向かないと思う。

 高層マンションは、災害時の不便さ、管理の大変さ、数十年後の建て替えの難しさなども指摘される。周囲を威圧する景観に不快感を持つ人もいる。不動産の権利を空中に拡大することで価値らしきものを創出してきた高層建築だが、もう限界ではないか。街づくりの思想を変えた方がいい。

(位川一郎)

 ジャニーズ事務所の元社長、故ジャニー喜多川氏による性加害報道を連日耳にし、2011年に発覚したオリンパスの巨額粉飾事件を思い出した。これは、バブル時代の財テクで生じた簿外損失を歴代3社長が隠蔽(いんぺい)したもの。経済誌『FACTA』が調査報道を行ったが、大手メディアは黙殺。その後、この報道を基にオリンパスの英国人社長が英経済紙に内部告発したことで粉飾決算が発覚し、国際的なスキャンダルとなった。

 今回の事件ももともとは『週刊文春』が調査報道し、事務所側と民事訴訟で最高裁まで争ったが、他の大手メディアは沈黙。英BBCがドキュメンタリー番組を製作したことで、ようやく事務所側が性加害を認めざるを得なくなったことと似ている。

 未曽有の規模の性加害をマスコミや司法が見過ごしてきた日本社会は、本当に健全なのかと強く感じる。

(稲留正英)

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