週刊エコノミスト Online編集後記

北條一浩/桐山友一

編集部から

 県議会に提案した埼玉県虐待禁止条例改正案が撤回され、10月10日、自民党県議団は釈明会見を開いた。あくまで「説明不足」のためであって「瑕疵(かし)はなかった」と言うのだが、それが本当なら重ねて丁寧な説明をすればいいだけの話で、圧倒的な反対の声に押されて撤回を余儀なくされたことは間違いない。

 小学3年生以下の子供だけでは、外出はおろか留守番もままならないとするこの改正案。留守番とはすなわち放置であり、虐待にあたるというその論理にはあぜんとするほかはない。

 これが通ったら親の仕事は大きく制限され、祖父、祖母などの保護が期待できないシングルマザー、ファザーにとっては致命的である。現実の生活実態とあまりにかけ離れている。

 ともあれ、撤回に追い込むまでに声を上げた、民意の勝利を喜びたい。

(北條一浩)

 ジャニーズ事務所の故ジャニー喜多川元社長による性加害問題は衝撃的だが、もう一つ気になったことがある。めいの前社長、藤島ジュリー景子氏が「事業承継税制」を活用して株式を相続していたことだ。後継者難の中小企業のため、雇用維持などを条件に、株式を引き継ぐ後継者の相続税・贈与税を納税猶予・免除する税制だ。

 ジャニーズ事務所は非上場で資本金1000万円などと、中小企業の条件に当てはまる。ただ、決算公告が見当たらず同業他社との比較などから推測するしかないが、利益の蓄積である利益剰余金は数百億円はあるのではないか。ジュリー氏が相続した財産総額も相当額あったはずで、事業承継税制を活用しなくとも株式にかかる相続税を納める資力は十分あっただろう。

 税制が本来の趣旨から外れて活用されているのなら、今後の税制改正で見直しを検討してもおかしくない。

(桐山友一)

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