国際・政治東奔政走

政権は「死に体」の瀬戸際 維新も「コスパ攻勢」に影 人羅格

「2025年日本国際博覧会を成功させる国会議員連盟役員会」に出席する日本維新の会の馬場伸幸代表(左)と遠藤敬国対委員長。「万博問題」は維新の弱点となりかねない
「2025年日本国際博覧会を成功させる国会議員連盟役員会」に出席する日本維新の会の馬場伸幸代表(左)と遠藤敬国対委員長。「万博問題」は維新の弱点となりかねない

 10月20日召集の臨時国会は、内閣改造で政権浮揚を図った岸田文雄首相の目算が大きく外れる中での論戦となる。

 内閣支持率が低迷する中で、首相が年内に衆院解散に踏み切るハードルは高い。一方で野党も勢いを欠く。とりわけ、上げ潮だった日本維新の会の支持率の足踏み状態が、首相の判断にも影響を与える可能性がある。

 政権浮揚の観点で見る限り「何のための改造だったか」と思えてしまう。時事通信の10月世論調査で内閣支持率は26.3%と政権発足以来最低を更新した。不支持も46.3%に達し、支持を大きく上回った。

改造でも浮揚せず

 骨格がほとんど不変な人事で、唯一の目玉は女性閣僚5人の起用だった。だが、副大臣や政務官に女性起用ゼロの異常さの方が際立ち、政権浮揚目当ての底の浅さを露呈してしまった。

 イスラエルとイスラム組織「ハマス」が交戦状態に陥り、ロシアのウクライナ侵攻と合わせ、二つの戦火が世界を揺るがす。林芳正前外相をあえて交代し、上川陽子外相を起用した矢先だ。上川氏の手腕もすぐに試される。

 臨時国会で首相は補正予算成立を期す考えを表明している。経済対策を10月末に策定、11月中に国会提出が見込まれ、成立すれば12月近くになる。年末の来年度予算編成を控え、情勢だけでなく日程的にも年内解散は難しい。

 そこに「減税」という伏線がある。公明党は物価高対策として、住民税非課税世帯などの低所得層への給付金に加え、中間所得層も含めた定額の所得減税を提起した。

 減税の場合、税制改正や法的措置は来年になる。このため「補正予算を成立させ、減税を掲げて衆院を解散する布石ではないか」との臆測を呼んだ。一方で自民党内の減税慎重論は財政を一層悪化させる懸念や「実施するまで時間がかかる」との理由からだ。だが、一皮めくれば「この低支持率の内閣の下で衆院解散を誘発してはたまらない」との本音ものぞく。

 次期衆院選で公明は大阪・兵庫の6小選挙区でこれまで競合を避けてきた維新と対決する厳しい状況に直面している。

 9月下旬、麻生太郎自民党副総裁が、政府が反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有などを決定した過程を巡り、公明党の山口那津男代表らを「がん」呼ばわりして批判した。それでも山口代表ははっきり反論しなかった。やっと修復した自公の選挙協力に波風が立っては、小選挙区の勝利などおぼつかないとの判断だろう。

「万博」負担増が波紋

 一方、野党側は春の統一選で躍進した日本維新の会の支持率伸び悩みが新たな変数だ。NHKの10月調査で立憲民主党の支持率は5.3%で、約1ポイント減った維新の4.9%と逆転した。他調査も維新はおおむね横ばい状態…

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週刊エコノミスト

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