ウクライナ支援 EUは来年から4年間で8兆円援助へ 米国議会に消極姿勢も 熊谷徹
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欧州の将来を戦略的に議論する欧州政治共同体(EPC)に参加する44カ国の首脳たちの大半は、10月5日にスペイン・グラナダで開かれた第3回首脳会議で、ウクライナに対する武器支援や人道的援助を維持する方針を打ち出した。
EPCは、ロシアのウクライナ侵攻後の昨年10月に、マクロン仏大統領の発案で、欧州連合(EU)加盟国に英国やトルコ、ウクライナなどが加わった。共同声明は公表せず、多くの首脳が形式にとらわれずに意見交換をできるという利点がある。
保守系独日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』10月5日付電子版でEPCを「反プーチン連合」と呼び、ウクライナ支援の維持を内外へ向けて強調することが重要な目的だと指摘した。ショルツ独首相は、ゼレンスキー大統領に対して「ウクライナをロシアのミサイル攻撃から守るために、パトリオット・ミサイルをさらに供与する」と約束。欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、グラナダ首脳会議に先立ち、ウクライナに2024年3月までに100万発の弾薬を供与するとともに、24~27年の4年間に500億ユーロ(8兆円、1ユーロ=160円で計算)の資金援助を行うと発表した。
FAZによると、グラナダ首脳会議に参加したゼレンスキー大統領は、「欧州諸国の連帯を守ることが、重要な課題だ。ロシアは、偽情報を拡散することで欧州に亀裂を入れようとしている」と述べた。背景には、今年9月、スロバキアの選挙でウクライナへの武器供与に否定的な親ロシア派・フィツォ元首相が勝利したことへの懸念がある。FAZは、「ゼレンスキー大統領にとって脅威は米国のウクライナ支援に疑問符が投げかけられていることだ。マッカーシー前下院議長がバイデン大統領と合意した暫定的予算には、ウクライナに対する軍事支援が含まれていなかった」と報じた。ゼレンスキー氏は「バイデン大統領は、我々を全面的に支援してくれて…
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週刊エコノミスト
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