週刊エコノミスト Online編集後記

位川一郎/中西拓司

編集部から

 本誌の「言言語語」のコーナーを担当している。日々の新聞記事から、ニュースの本質を突いた印象的な発言を拾っている。その中から今年のベスト3を独断で選んでみた。

 1位はグテレス国連事務総長の「地球温暖化の時代は終わり、地球が沸騰する時代がきた」(8月29日号)。発言を見た時はぎょっとしたが、もはや誇張と言えないくらい気候変動は危機的だ。

 2位はワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝を前に大谷翔平選手が言った「憧れるのはやめましょう」(4月11・18日合併号)。野球ファンに長く記憶されるに違いない。3位は袴田巌さんの再審初公判で姉秀子さんが訴えた「巌に真の自由を与えてもらえるようお願いします」(11月21・28日合併号)。57年間の苦難を経て出た一言だった。

 2024年はどんな名言が生まれるだろうか。

(位川一郎)

「最後の新曲」とされるビートルズの「ナウ・アンド・ゼン」が発表された。ジョン・レノンが残した弾き語りの音源から、人工知能(AI)でボーカルだけを取り出し、2001年に亡くなったジョージ・ハリスンのギターの音源に、ポール・マッカートニーとリンゴ・スターが完成させた。

 かつて「AI美空ひばり」が話題になったが、こちらは生前の声を基に、AIによる合成音声で新曲を作ったもの。「ナウ・アンド・ゼン」の主役はジョン・レノンの生前の声で、AIは補助にすぎない。両者はAIが関与したが、手法が異なる。

 故人の「新作」をAIで作る試みが続くが、「どこかで見た作品」にとどまる。アーティストの魅力は、「ひばりっぽい」といったファンの想像を超えるところにある。ビートルズの新曲は、「AIと人の距離感」の先例としても歴史に残ると感じた。

(中西拓司)

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