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国際・政治 書評

米大統領選出馬の構え見せるリズ・チェイニー氏が痛烈なトランプ批判本 冷泉彰彦

 リズ・チェイニー氏は元副大統領のディック・チェイニー氏の長女であり、政界を引退した父の地盤を継承してワイオミング全州区選出の連邦下院議員を3期6年務めた。

 そのチェイニー氏の「回顧と警告の書」である『宣誓と名誉("Oath and Honor")』が話題となっている。題名は、アメリカの公務員が公職に就任する際に憲法と公益に忠誠を誓う「名誉の宣誓」から来ている。他でもないドナルド・トランプ前大統領が2020年11月の大統領選で落選しておきながら、憲法の規定に反して落選を認めずに大統領の座にとどまろうとしたことへの痛烈な批判の意味を込めたタイトルである。

 内容は回顧録というよりは、トランプ前大統領が落選してから21年1月6日に自分の支持者による議会暴動を扇動するまで、そしてチェイニー氏などの努力により、議会下院においてこの暴動事件に関する公聴会が開かれた経緯などの克明な記録となっている。例えば、落選直後のトランプ前大統領は権力維持のために国防総省を私物化したこと、落選1カ月後の12月から日々猛烈な数のツイートを開始して、選挙結果を否定する情報の拡…

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