米国でEV販売に急ブレーキ 売れるのはハイブリッド 岩田太郎
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米国において、電気自動車(EV)販売の低迷が鮮明となっている。このペースで、2030年までに新車販売の半分をEVにする国家目標は達成可能なのか。メーカーやディーラー、さらにメディアの間では、熱い議論が交わされている。
米調査企業アトラス公共政策のウェブサイトによると、23年の米EV販売は史上初の100万台超えで前年比50%増、新車販売のおよそ9%を占めるまでに急成長する。
ところが、主な顧客の富裕層需要が一巡したため、販売増加のペースは急減速。米自動車業界分析企業のコックス・オートモーティブによると、ディーラーにおける12月のEV平均在庫日数は114日分と、適正水準である70日分を大きく上回った。
南部ノースカロライナ州のトヨタ系販売店「グリーンズボロ・トヨタ」でプリンシパルを務めるメアリー・ライス氏は11月28日付の業界サイト「オートニュース」に対して、「南部5州に展開するわれわれのチェーンでは、ハイブリッド車のプリウスが入荷から1週間もしないうちに売れてしまうのに、(同じくトヨタが製造するEVの)bZ4Ⅹは最大266日以上も動いていない」と明らかにした。
こうした中、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は24年から開始予定であったEVピックアップトラックの2モデルの生産を25年後半まで先送りし、大手フォード・モーターも、EV関連の投資計画150億ドル(約2兆2500億円)のうち、8割に相当する120億ドル分(約1兆8000億円)を延期。EVピックアップ「F150ライトニング」の24年生産目標を半減する傍ら、この先数年内にハイブリッド車の品ぞろえを現在の4倍に増やすと発表している。
米ニュースサイトのビジネスインサイダーは12月16日付の記事で、「GMは23年がEV生産の爆発的増大の年になると述べていたが、実際の需要は急降下した」と指摘。米ニュースサイトのアクシオス…
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週刊エコノミスト
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