『東京タワーとテレビ草創期の物語』　北浦寛之著　ちくま新書　968円

　昭和史において、数字の「3」は輝かしい快挙の記憶と結びついている。1958（昭和33）年、高さ333メートルの東京タワーが誕生したからだ。本書はその東京タワーが登場する最古のドラマであり、歴史的作品である「マンモスタワー」に焦点をあて、当時の若々しいテレビ産業の隆盛ぶりを描き出す。同ドラマ主演の森雅之をはじめ、正力松太郎や森繁久彌など多くの著名人の動きも楽しく、まさに「ドラマチック」な文化史の物語を堪能できる。（K）

週刊エコノミスト2024年2月13日号掲載

『東京タワーとテレビ草創期の物語』　北浦寛之著　ちくま新書　968円