スウィフトさんも陰謀論の対象 大統領選の接戦予想が背景に 井上祐介
1月、ワシントンDCに3年ぶりに戻ってきた。以来、最も話題に挙がった人物は誰か。振り返ると、それはバイデン氏やトランプ氏ではなく、人気歌手のテイラー・スウィフトさんだったかもしれない。
スウィフトさんは、2月4日のグラミー賞の授賞式で、通算4回目となる年間最優秀アルバム賞を受賞した。フランク・シナトラ、ポール・サイモン、スティービー・ワンダーを抜く史上初の快挙達成だった。昨年末には米『タイム』誌の「今年の人」に選ばれており、勢いに衰えは見られない。
その翌週の11日にはラスベガスでNFLのスーパーボウルが開催され、カンザスシティー・チーフスとサンフランシスコ49ersが争ったが、ここでもスウィフトさんの話題が持ち上がった。チーフスのスタープレーヤー、トラビス・ケルシー選手と昨年から交際していたからである。スウィフトさんはスーパーボウルの前日まで東京でコンサートを予定しており、太平洋をまたぐ長距離移動で試合に駆け付けられるかが注目されたが、これには在米日本大使館が「余裕を持って間に合う」と異例のお墨付きを出したほどだった。
スウィフトさんの話題は本業での活躍や私生活だけにとどまらない。一部の熱心な共和党支持者や保守系メディアは、彼女が民主党政権の仕組んだ「サイオプ(心理操作作戦)」だと決めつけ、スーパーボウルの結果さえも、スウィフトさんの支持を獲得するために民主党によって操作されたといった陰謀論を拡散してきた。
スウィフトさん自身は今年の大統領選挙に関しては明確な立場を表明していない。それにもかかわらず、政治的な発言を慎むように圧力をかけられるなど、既にけん制が始まっている。
2.8億人のフォロワー
なぜ、こうした陰謀論が生まれるのか。一つの理由はスウィフトさんの有する圧倒的な影響力であろう。インスタグラムのフォロワー数は約2.8億人に達しており、「スウィフティーズ」と呼ばれ…
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週刊エコノミスト
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