ドイツ極右党が支持率2位に 全国で抗議デモが毎週続き財界も懸念表明 熊谷徹
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ドイツでは極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の政党支持率が2位となり、市民や経済界に不安が募っている。
独日刊紙『南ドイツ新聞』(2月12日付紙面)によると、2月11日のミュンヘンでの反極右集会に10万人(警察発表)が参加。抗議デモは1月下旬以来、全国の都市で毎週末に行われている。1月21日にベルリンで開かれた抗議集会にも10万人が参加した。連邦内務省の1月22日の発表によると、1月21日からの2日間に全国でデモに参加した市民の数は、91万600人にのぼる。
デモの引き金になったのは、調査報道団体「コレクティーフ」が今年1月10日に公表したスクープ記事だ。それによると、去年10月25日に、旧東ドイツ・ポツダムのホテルで、極右勢力の関係者らが、AfD党員や排外思想を持つ企業家たちを会合に招いた。この際に極右団体「アイデンティタリアン運動(IB)」に属するオーストリア人が講演し、亡命申請者(難民)など数百万人の独在住の外国人をアフリカへ追放する計画を説明。コレクティーフは、「ドイツに帰化したがこの国の文化や習慣を受け入れない元外国人の追放も目指しており、憲法違反の内容」と批判した。
独日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』(1月22日付紙面)は、シュタインマイヤー大統領の「デモに参加した市民は、民主主義の敵から社会と憲法を守るために戦っている。民主勢力は地域や世代を超えて結集し、この国を守らなくてはならない」という言葉を引用。独日刊紙『ヴェルト』(2月5日付電子版)によるとショルツ首相は、「ドイツの住民の4人に1人が、外国人か帰化した元外国人だ。我々は彼らを必要としており、この国は彼らと連帯する」と述べた。
財界人も声上げる
経済界からも懸念が高まっている。ヴェルト(1月27日付電子版)によると、ドイツ銀行のゼービングCEO(最高経営責任者)は、「私は人種差…
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週刊エコノミスト
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