米経済は指標強いも根強い景気後退説 スタグフレーション警戒の声も 岩田太郎
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大方の市場予測に反して、米国経済は2023年にリセッション(景気後退)に入らなかった。各種経済指標は相変わらず強く、24年の「軟着陸」を予想する声が支配的となっている。だが、油断するのは早いとする論調も根強い。
米金融大手ゴールドマン・サックスのデイビッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は3月15日付の株主に宛てた書簡で、「長年にわたる緩和的な金融政策や財政出動に続いて、米経済は過去40年で最速の金融引き締めを経験したが、それでもリセッションは起こっていない。米経済は予想以上に弾力と耐久性を示している」と指摘した。
一方、米金融大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは3月12日のシドニーにおける講演で、「米経済は現在、好景気に沸いているが、リセッションの可能性がなくなったわけではない。市場関係者は70~80%の確率で軟着陸を織り込んでいるが、私はこの先1~2年のソフトランディングの確率はその半分に過ぎないと考える。最悪の場合は、(景気停滞下の物価高である)スタグフレーションになる」との見解を表明した。
ニューヨーク市立大学のポール・クルーグマン教授も3月12日付の米紙『ニューヨーク・タイムズ』への寄稿で、「私はリセッション入りのリスクを懸念している。2月の失業率は3.9%と歴史的な低水準にあるものの、失業率の3カ月移動平均が過去12カ月の最低値から0.5ポイント余り上昇した時にリセッションが始まるとされる『サーム・ルール』の基準が満たされる寸前となっている。米連邦準備制度理事会(FRB)が金利を高止まりさせたままだと、(失業率が上昇して)景気がついに後退する…
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週刊エコノミスト
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