新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

国際・政治 論壇・論調

米経済は指標強いも根強い景気後退説 スタグフレーション警戒の声も 岩田太郎

フィラデルフィアの工事現場。景気後退の懸念は根強い(2024年2月、ペンシルベニア州で) Bloomberg
フィラデルフィアの工事現場。景気後退の懸念は根強い(2024年2月、ペンシルベニア州で) Bloomberg

 大方の市場予測に反して、米国経済は2023年にリセッション(景気後退)に入らなかった。各種経済指標は相変わらず強く、24年の「軟着陸」を予想する声が支配的となっている。だが、油断するのは早いとする論調も根強い。

 米金融大手ゴールドマン・サックスのデイビッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は3月15日付の株主に宛てた書簡で、「長年にわたる緩和的な金融政策や財政出動に続いて、米経済は過去40年で最速の金融引き締めを経験したが、それでもリセッションは起こっていない。米経済は予想以上に弾力と耐久性を示している」と指摘した。

 一方、米金融大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは3月12日のシドニーにおける講演で、「米経済は現在、好景気に沸いているが、リセッションの可能性がなくなったわけではない。市場関係者は70~80%の確率で軟着陸を織り込んでいるが、私はこの先1~2年のソフトランディングの確率はその半分に過ぎないと考える。最悪の場合は、(景気停滞下の物価高である)スタグフレーションになる」との見解を表明した。

 ニューヨーク市立大学のポール・クルーグマン教授も3月12日付の米紙『ニューヨーク・タイムズ』への寄稿で、「私はリセッション入りのリスクを懸念している。2月の失業率は3.9%と歴史的な低水準にあるものの、失業率の3カ月移動平均が過去12カ月の最低値から0.5ポイント余り上昇した時にリセッションが始まるとされる『サーム・ルール』の基準が満たされる寸前となっている。米連邦準備制度理事会(FRB)が金利を高止まりさせたままだと、(失業率が上昇して)景気がついに後退する…

残り692文字(全文1392文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事