『トヨタ　中国の怪物』　児玉博著　文藝春秋　1870円

　トヨタ自動車の中国事業を躍進させ、上司の豊田章男氏を社長に押し上げた立役者の服部悦雄氏。彼の歩みを通じて同社内の知られざる史実を明かしたノンフィクションだ。旧満州で生まれ戦後も家族と中国に残った服部氏は文化大革命などの苛烈な歴史に翻弄(ほんろう)されながらも生き残り、帰国してトヨタに入社。中国をよく知る男として政府要人と関係を築くなど大活躍したが周囲のやっかみに遭い、役員就任も果たせなかった。驚きの歴史ドラマが多数。（W）

週刊エコノミスト2024年4月30・5月7日合併号掲載

『トヨタ　中国の怪物』　児玉博著　文藝春秋　1870円