ウクライナ軍事支援で“不可能”を明言する独首相と“可能性”を排除しない仏大統領 熊谷徹
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ロシアによる夏の対ウクライナ攻勢の懸念が高まる中、ウクライナ支援をめぐり独仏間の不協和音が強まっている。
独日刊紙『南ドイツ新聞(SZ)』の3月13日付電子版は、「ショルツ首相は連邦議会の演説で、巡航ミサイル・タウルスをウクライナに供与しないことを改めて強調した」と報じた。SZによるとショルツ氏は、「タウルスの目標設定やプログラミングを行うには、ドイツ連邦軍の兵士がウクライナに行く必要がある。私は、ドイツ軍の兵士をウクライナには絶対に派遣しない。首相として、ドイツがウクライナ戦争の当事者になることを防ぐ義務を持つ。慎重な行動は、ドイツの弱さを示すものではない。国民は、政府に対して慎重な行動を望んでいる」と語った。
SZの3月14日付電子版によると、フランスはスカルプ、英国はストームシャドーという巡航ミサイルをウクライナに供与済み。だが、ドイツのタウルスの射程は約500キロメートルで、英仏の巡航ミサイルの約2倍と高い効果が見込まれている。
さらにドイツを驚かせたのが、マクロン仏大統領の発言だ。ドイツ公共放送連盟(ARD)の2月27日付ニュースサイトは、「マクロン大統領は、『事態が流動的な時代には、あらゆるオプションを考えるべきだ。私はフランスがウクライナに地上軍を派遣する可能性を排除しない』と述べた」と報じた。その後、仏大統領府の広報官は「フランスは戦闘に参加するわけではなく、地雷除去や国境警備などの任務でウクライナ軍を支援することを考えている」と釈明したが、西欧の主要国の大統領が、地上軍のウクライナ派遣の可能性に言及したのは、初めてだ。
独日刊紙『ヴェルト』は2月27日付電子…
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週刊エコノミスト
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