新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

国際・政治 論壇・論調

米FRBのタカ派姿勢に一部で高まる景気後退懸念 岩田太郎

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長。タカ派姿勢を見せる(2024年4月、米ワシントンで) Bloomberg
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長。タカ派姿勢を見せる(2024年4月、米ワシントンで) Bloomberg

 米物価上昇率が3%台で高止まりを続ける中、米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ退治のため政策金利で「より高く、より長く」を志向。大半のエコノミストや市場関係者がこれを受け入れる中、リセッション(景気後退)リスクを危惧する一部論客は、疑問を呈している。「FRBとは争うな」とは市場の格言であるが、不満の声は高まっている。

 パウエルFRB議長は4月16日に、「インフレが長引くことは、当初の想定よりも長期にわたり高金利を維持することを意味する」と述べて、タカ派的な姿勢を改めて強調した。

 スイス金融大手UBSグループのストラテジスト、ジョナサン・ピングル氏らは4月15日付の分析で、「米国の景気拡大が引き続き順調で、インフレ率が2.5%以上にとどまれば、連邦公開市場委員会(FOMC)が来年早期までに利上げを再開し、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利が2025年半ばまでに6.5%に達するという現実のリスクがある」と警鐘を鳴らした。

 こうした論調が市場で現実と受け止められる中、カナダの投資企業BMOキャピタルマーケッツの米金利担当部長であるイアン・リンゲン氏は4月11日のブルームバーグテレビに出演し、「米インフレ率が高止まりしたまま2%の物価上昇率目標を掲げ続ければ、FRBは(目標達成のための引き締め維持により)リセッションを引き起こさざるを得ない立場に自らを追い込む」と予測。

 米ピーターソン国際経済研究所で非常勤の上席研究員を務めるハーバード大学教授のカレン・ダイナン氏も4月15日付のロイター通信の記事で、「より引き締め的な政策で需要が鈍化し、米経済が減速する公算が大きい」と…

残り671文字(全文1371文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事