米FRBのタカ派姿勢に一部で高まる景気後退懸念 岩田太郎
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米物価上昇率が3%台で高止まりを続ける中、米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ退治のため政策金利で「より高く、より長く」を志向。大半のエコノミストや市場関係者がこれを受け入れる中、リセッション(景気後退)リスクを危惧する一部論客は、疑問を呈している。「FRBとは争うな」とは市場の格言であるが、不満の声は高まっている。
パウエルFRB議長は4月16日に、「インフレが長引くことは、当初の想定よりも長期にわたり高金利を維持することを意味する」と述べて、タカ派的な姿勢を改めて強調した。
スイス金融大手UBSグループのストラテジスト、ジョナサン・ピングル氏らは4月15日付の分析で、「米国の景気拡大が引き続き順調で、インフレ率が2.5%以上にとどまれば、連邦公開市場委員会(FOMC)が来年早期までに利上げを再開し、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利が2025年半ばまでに6.5%に達するという現実のリスクがある」と警鐘を鳴らした。
こうした論調が市場で現実と受け止められる中、カナダの投資企業BMOキャピタルマーケッツの米金利担当部長であるイアン・リンゲン氏は4月11日のブルームバーグテレビに出演し、「米インフレ率が高止まりしたまま2%の物価上昇率目標を掲げ続ければ、FRBは(目標達成のための引き締め維持により)リセッションを引き起こさざるを得ない立場に自らを追い込む」と予測。
米ピーターソン国際経済研究所で非常勤の上席研究員を務めるハーバード大学教授のカレン・ダイナン氏も4月15日付のロイター通信の記事で、「より引き締め的な政策で需要が鈍化し、米経済が減速する公算が大きい」と…
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週刊エコノミスト
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