『罪を犯した人々を支える』 藤原正範著 岩波新書 1012円
『罪を犯した人々を支える』 藤原正範著 岩波新書 1012円
家庭裁判所の調査官を長年務めた著者が、司法が抱える深刻な課題に迫った貴重な考察だ。裁判を傍聴し、高齢男性が280円分のガソリンを盗むなど、身寄りがおらず生活に困っていた人たちが犯罪に走った事例に相次ぎ遭遇。そこから刑事司法手続きの中で最も重要な、刑罰を決める段階で罪を犯した人が生き直せるようにするための考慮が成されていないと指摘。公判に社会福祉士が今以上に関与して、被告人の福祉のニーズを把握するよう訴える。(W)
週刊エコノミスト2024年7月9日号掲載
『罪を犯した人々を支える』 藤原正範著 岩波新書 1012円