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週刊エコノミスト Online 編集後記

平野純一/谷道健太

編集部から

 資本主義は市場メカニズムで動く。市場は効率的に資源配分を行うから経済はうまくいくと考える。ただ、世界人口が80億人を超えた今、このままでは市場メカニズムが地球環境をぶち壊しかねない。

 そんなことは皆わかっている。でも、電気自動車は高い。燃料電池車も水素を入れられる場所は限られ、おそらく不便だ。自動車メーカーも前のめりになると「ビジネスマインドはあるのか」と皮肉られる。

 市場メカニズムではうまくいかず、環境問題は国単位では解決しないのだから国際協調が重要になる。だが、国際協調は危うさを増している。ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ攻撃、北朝鮮の核・ミサイル開発、中国の海洋進出、欧州の右派勢力台頭……。こういう動きは加速すると、巻き戻すことは難しい。どんなに夏が暑くても環境問題はやはり優先順位を下げられる。

(平野純一)

 先日、埼玉県八潮市に行った。市役所の近くにあるパキスタン料理店が目当てだ。骨付き羊肉がゴロンと入った辛いカレーと「ロティ」という茶色で円形の硬いパンをいただいた。現地で食べた味そのものだ。

 私はパキスタン、インド、バングラデシュを計4カ月ほど旅したことがあるが、日本でよく見かけるふわふわで長細い「ナン」は一度も目にしなかった。

 なぜ日本のインド料理店はナンを売り物にするのか。最近、室橋裕和著『カレー移民の謎』(集英社新書)を読んで長年の疑問が解けた。1970年ごろ、インドの大企業が東京のインド料理店「アショカ」を買収、「タンドールで焼いたナンとタンドリーチキンを提供する、日本で初めての店となった」とある。その後、日本で「チーズナン」などが独自進化し、カレーも現地とかけ離れた味になった経緯が詳述してあり、興味が尽きない。

(谷道健太)

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