教養・歴史コレキヨ

小説 高橋是清 第2話 運の良い子=板谷敏彦

     <新連載>

     嘉永7(1854)年はペリーが浦賀に来航した翌年である。当時の日本は黒船の来航や内裏の炎上、東海地震に南海地震と、これでもかとばかりに災厄に見舞われた。そのため嘉永7年は、11月に入ると打ち続く凶事の影響を断ち切るために改元されて安政元年となった。

     この年のはじめ、芝の露月町(ろげつちょう)、現在の新橋5丁目住友金属鉱山の本社辺り、ここに幕府お抱え絵師の狩野探昇、俗名を川村庄右衛門守房という人物が住んでいた。この付近は昭和のバブルの時代に、通り沿いのペンシルビルで話題になった地域で、京町屋のような狭い間口に奥深い敷地の商人用の建物が多かった。

     絵師、庄右衛門は男盛りの47歳である。体格も立派なら性格も豪放、社交的で面倒見もよく、家に人を呼ん…

    残り2473文字(全文2804文字)

    週刊エコノミスト

    週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
    有料会員になると、続きをお読みいただけます。

    ・会員限定の有料記事が読み放題
    ・1989年からの誌面掲載記事検索
    ・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

    通常価格 月額2,040円(税込)

    週刊エコノミスト最新号のご案内

    週刊エコノミスト最新号

    2月4日号

    AIチップで沸騰!半導体第1部 世界の開発最先端14 GAFAも開発に乗り出す AIチップの8兆円市場 ■津田 建二/編集部18 Q&Aで分かる AIチップ ■編集部/監修=本村 真人21 インタビュー ディジタルメディアプロフェッショナル(DMP) 山本達夫 社長「推論用AIチップのコア開 [目次を見る]

    デジタル紙面ビューアーで読む

    おすすめ PR

    最新の注目記事

    ザ・マーケット