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週刊エコノミスト Online 特集

役立つ会計 60年ぶりの大改革 透明化される監査報告書 意見の根拠や検討事項を開示=林隆敏

図1 監査報告書に企業ごとの固有情報が記載される(出所)筆者作成
図1 監査報告書に企業ごとの固有情報が記載される(出所)筆者作成

 金融庁の企業会計審議会は7月5日、「監査基準」の改訂を決めた。監査報告書の構造を抜本的に変更すると共に、監査プロセスの透明化(見える化)も図る。1956年に監査報告書の基準が定められて以来、約60年ぶりの「監査報告書改革」と言える。

 従来の監査報告書は、貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書などが監査の対象となることや、経営者や監査人の責任について、簡潔・明瞭な「定型文」で触れた後、最後に「適正」や「不適正」といった監査意見を短く書く形式だった。今回の構造変更では、監査意見を冒頭に記載したうえで、意見の根拠も説明するようにする(図1)。

 さらに「意見不表明」以外の場合、「監査上の主要な検討事項(KAM(カム):Key Audit Matters)」を新たに記載する。KAMは同審議会の監査基準で「当年度の財務諸表の監査の過程で監査役等と協議した事項のうち、職業的専門家として当該監査において特に重要であると判断した事項」と定義されている。

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