経済・企業特集

大図解・世界経済&マーケット データで分かる!3 危険な新興国通貨 史上最安値更新のトルコ・リラ=武田淳

    主な新興国通貨の推移
    主な新興国通貨の推移

    史上最安値更新のトルコ・リラ 世界経済不安定化の震源に

     トルコの通貨リラが急落し、世界を揺るがせている。リラは年初の1ドル=3・8リラ前後から8月13日に一時7リラ前半まで下落(図)。史上最安値を更新し、年初からの下落率は45%を超えた。

     きっかけは米国との関係悪化だ。拘束中の米国人牧師の返還要求に応じないトルコ政府に対して、米国は一部閣僚の資産凍結や鉄鋼・アルミの関税倍増などの制裁措置を発動した。その後、トルコ政府・中銀の対応策やカタールの支援表明によりひとまず通貨リラは下げ止まっているものの、通貨下落の根底にあるファンダメンタルズ(基礎的諸条件)は悪化したままだ。

     新興国通貨を評価する指標はあまたあるが、ファンダメンタルズに関しては、経常収支、インフレ率、成長率の3指標が有効だ。経常収支は企業で言えば経常利益のようなもので、赤字は要注意、国内総生産(GDP)比3%を超えると危険水準と見る。インフレは理論的に通貨の価値を下げるものであり、3%を超えると要注意、6%以上で危険。成長率は期待されるリターンの目安で、3%以上を要求したい。

     最後の砦(とりで)となるのが外貨準備だ。外貨準備が潤沢であれば、通貨下落時も為替介入により買い支えできる。評価する際は、絶対額よりも、輸入や対外債務、特に短期債務との比較が一般的で、輸入額の3カ月分以上、短期対外債務の1・5倍以上が目安となる。なお、これら数値的な基準は、いずれも筆者の経験則に基づくものである。

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