国際・政治特集

総括!安倍政治の功罪 沖縄基地問題 犠牲を固定化する新基地建設 民意の無視は日本の未来に禍根=屋良朝博

辺野古基地移転に向け護岸工事が進む沿岸部
辺野古基地移転に向け護岸工事が進む沿岸部

 言葉が乱れると世は乱れると論語は説く。米軍基地が集中する沖縄で新基地建設を強権的に進める安倍政権のレトリックはまさに混迷を深めさせる。安倍首相はこう主張する。日本の「安全保障」に必要な「抑止力」を維持するため、「地理的優位性」のある沖縄に米軍を駐留させる。そして街の中心部にある普天間飛行場を人口の少ない沿岸部の名護市辺野古へ移転する計画が抑止力を維持しつつ、沖縄県民の負担を軽減する「唯一の選択肢」である。この説明は正確、誠実なのだろうか。

 安倍政権に限らず、民主党政権も普天間の辺野古移設を容認した時、「抑止力」の言葉を振りかざした。しかし抑止力は相手の受け止め方、判断、理性などによる。正常な判断ができない、例えば泥酔した人に何を言っても通じない。北朝鮮について「あの国は何をしでかすか分からない。だから沖縄の米軍が重要だ」といった不思議な抑止論が横行する。

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