商社 不思議4 株価が上がらない 株主還元の強化でも市場の成長期待は低く=種市房子
有料記事
PBR(株価純資産倍率=株価÷1株当たり純資産額、または時価総額÷純資産額)は、株価の割安感を判断するのに使われる代表的な株価指数(バリュエーション)だ。PBRが1倍を割るということは、市場から「会社を解散して資産を分け合った方が、株を買うより利益を得られる」、つまり解散価値割れとみなされたことを意味する。商社を見ると、1倍割れは珍しくない。業界トップの三菱商事は0・85倍、2位の三井物産は0・80倍、住友商事0・87倍、丸紅0・88倍。1倍を上回っているのは、伊藤忠商事のみだ(2017年度末終値ベース)。商社の一部事業で競合するプラントや化学メーカー大手は1倍を上回っている。一方で、こちらも商社とは一部で競合する資源開発や金融・保険大手は1倍割れだ。
- <不思議1 最高益どう稼いでいる 資源、機械、生活関連 7社七様の得意分野=種市房子>
- <不思議2 “格上げ”相次ぐ 財務規律の姿勢鮮明に 成長投資は保守的に=種市房子>
- <不思議3 資源で稼ぎ続ける? LNG、鉄鉱石、石炭……生活・産業支える巨大事業=浜田健太郎>
商社は、資源ビジネスが好調だった00年代にはPBRが2~3倍だった。しかし、10年代に入り資源ビジネスで苦戦すると、1倍割れに陥った。ただし業績面で見れば、15~16年に各社とも大幅減損を計上した後は、決算はV字回復。18年3月期決算でも、5大商社で三井物産を除く4社が過去最高益を更新した。それでも5社中4社のPBRは1倍割れのままだ(9月11日現在)。
残り1569文字(全文2079文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める