歴史書の棚 『老子』は日本史の伏流水 画期的視座を提出=加藤徹
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古代中国の思想書『老子』は、漢文の原文でわずか5000字程度の短い古典である。入門者向けのミニマムな訳解書なら、薄い文庫本1冊でおさまる。表現は簡素だが、無為自然の道を説く言葉は含蓄に富む。孔子の『論語』と並び、世界で最もよく読まれている中国古典だ。
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世の『老子』関連本は、漢文の専門家による訳解書か、『老子』をだしに処世術や人生論を説く啓蒙(けいもう)書が多い。保立道久『現代語訳 老子』(ちくま新書、1100円)は、そのどちらでもない異色の本だ。
著者は東京大学名誉教授で日本史の専門家。近年は地震火山神話から歴史地震噴火論への研究に力を注いでいる。そんな著者がなぜ『老子』の本を書いたのか? 『老子』の思想が伏流水のように日本史に影響を与え続けてきたからだ。
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週刊エコノミスト
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