歴史書の棚 至宝はなぜ流出したか 裏面を語る異色の美術史=今谷明
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酷暑の中、書店へ押して出かけてみると、歴史書は大変多く、選定にいささか苦労した。しかし戦国大名ものなど類書がいくつかあり、ちょっと興ざめな点もなくはなかった。 その中で、専門家の作ではないが、めっぽう面白かったのが、中野明著『流出した日本美術の至宝 なぜ国宝級の作品が海を渡ったのか』(筑摩選書、1700円)である。
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1159年、平家一門の熊野詣での隙(すき)を狙って、源頼朝の軍兵が三条殿を焼き打ちする猛火の場面を描く「平治物語絵巻」は、教科書等に掲載されていて誰でも知っている。しかもその逸品が日本でなく、アメリカのボストン美術館の所蔵と知って、多くの人が奇異の感に打たれたことであろう。
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週刊エコノミスト
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