歴史書の棚 マーケットvs幕府 江戸に学ぶ資本主義の攻防=今谷明
有料記事
先日大きな地震のあった大阪府北部、茨木市の北方に「石堂(いしどう)ケ岡」という標高約700メートルの低山がある。高さはないが一等三角点が置かれ、非常に見通しが良く、地域のハイキングコースに入っている。学生時代、私も登頂したが、地元の説明では江戸時代に堂島米市場の情報を手旗で京都六条の米会所に送ったといい、別名を“相場山(そうばやま)”と称したという。
- <歴史書の棚:歴史書の棚 至宝はなぜ流出したか 裏面を語る異色の美術史=今谷明>
- <歴史書の棚:歴史書の棚 未来国家のモデルとして「偉大なる小国」に学ぶ=本村凌二>
- <歴史書の棚:歴史書の棚 今日の米社会に与えるニーチェ思想の影響=本村凌二>
堂島の相場が瞬時に京都へ伝えられるだけでなく、堂島の米市は世界最初の「組織的先物取引市場」でもあった。米市場は室町時代、延暦寺の門前町だった近江の坂本に置かれ(おそらく日本初)、戦国時代は京都にも米市場があったことは、「洛中洛外図」(上杉本)に描かれている通りである。
残り585文字(全文897文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める