週刊エコノミスト Online特集

政府のキャッシュレス戦略 米プラットフォーム企業に危機感=福本勇樹 キャッシュレスの覇者 

    (出所)筆者作成
    (出所)筆者作成

     日本におけるキャッシュレス化の政策対応は、2014年の「日本再興戦略(改訂)」から始まる。当初は、東京五輪・パラリンピックの開催、インバウンド(訪日外国人)や地方創生といった観点から、外国人観光客による国内消費を喚起する政策目的が中心であったといえる。

     直近の方策ではビッグデータの有効利用による消費活性化策を含めて、日本国内の民間消費におけるキャッシュレス化の推進についても重視されている。17年5月に「キャッシュレス決済比率」を民間消費支出に占めるクレジットカード、デビットカードと電子マネーによる決済額の割合と定義した上で、18年4月の「キャッシュレス・ビジョン」では、キャッシュレス決済比率40%の目標を25年までに実現するとしている。これを踏まえて、18年7月には、産学官からなる「キャッシュレス推進協議会」が設立されたところである。

     表のように、日本のキャッシュレス化の議論において、経済産業省が中心的な役割を担っている。「キャッシュレス・ビジョン」の中では、キャッシュレス化を進める意義として、消費者の利便性向上、流通・小売業者の生産性向上や人手不足対策、インバウンド需要の取り込みといった項目が強調されている。また、特筆すべき点として、「キャッシュレスを起点とした新産業の創造」も掲げられ、購買履歴データを利活用するビジネスや、データ分析を通じて新たなサービスを喚起することも重視されている。背景には、米アマゾンなどの世界的なプラットフォーム企業の脅威が日本に差し迫っているという政府の現状認識がある。

     プラットフォーム企業は、個々のビジネスから利益を得るのではなく、利用者との接点を多様化することで得られた情報(ビッグデータ)を収集・分析して新しいサービスを低価格で提供するようなビジネスモデルを採用している。中国アリペイなど海外の決済サービスではこの流れが顕著で、決済手数料を低廉化させて多くの加盟店を集め、購買履歴データを利活用することでさまざまなビジネスが展開されている。それゆえ、プラットフォ…

    残り1888文字(全文2748文字)

    週刊エコノミスト

    週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
    有料会員になると、続きをお読みいただけます。

    ・会員限定の有料記事が読み放題
    ・1989年からの誌面掲載記事検索
    ・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

    通常価格 月額2,040円(税込)

    週刊エコノミスト最新号のご案内

    週刊エコノミスト最新号

    7月14日号

    コロナが迫る 非接触ビジネス第1部16 「脱3密」に勝機あり リアル×ネットで株価急騰 ■白鳥達哉/種市房子19 インタビュー 鈴木康弘 日本オムニチャネル協会会長、デジタルシフトウェーブ社長 「ネット起点に、実店舗を運営」20  諸富徹 京都大学大学院 経済学研究科教授 「脱炭素社会への契機にも」 [目次を見る]

    デジタル紙面ビューアーで読む

    おすすめ情報

    最新の注目記事

    ザ・マーケット