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経済・企業 学者が斬る・視点争点

AI貸出でも必要な人的チェック=平田英明 学者が斬る

2005年に開業した新銀行東京は散々な結果に
2005年に開業した新銀行東京は散々な結果に

新銀行東京の失敗に学べ

 いわゆるビッグデータを活用した人工知能(AI)による中小企業向け貸出が急拡大している。AIと聞くと無敵と思われがちだが、その精度は現時点では未知数だ。

 実は2000年代の前半から中ごろにかけて統計モデルを用いたスコアリング貸出(SC貸出)と呼ばれる、AI貸出と似て非なる貸出手法があった。審査モデル開発の初期コストはかかるが、審査1件ごとの費用削減と与信審査時間を短縮化できることがメリットとなった。審査の客観性が確保できること、スコアで判断できる手軽さがあること、政策的な後押しもあったことから、特に新規貸出先の審査に効果を発揮することが期待された。

 しかし、多くの銀行で、SC貸出は多額の不良債権を生み出した。特に、東京都が出資し、当時の石原慎太郎都知事の肝いりで05年に設立された新銀行東京(現きらぼし銀行)は、SC貸出をビジネスの中核に据えたものの、開業後わずか3年半で資本の8割を毀損(きそん)した。

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